強くなるために
2024/02/19
過日、水曜日の課外である「花まる学習会」から榊原先生をお招きし、「強くなるために」と題して講演会を開催しました。
このタイトルを聞いた最初、「強く、という言葉を今発信するのには勇気が要ることだろう」と思いました。子育てや教育全般的に「多様性・不確定未来への対応・みんな=傷ついた・傷つくかもしれない(弱者)への配慮」という傾向がある中で、「強く」がマッチョなイメージ(もちろん、それ自体は良いも悪いもありませんが)として映ったらどうだろうか…と少し心配したのです。
しかし私は、お坊さんとしての人生相談なども通じて、「強さを忌避した人の姿」を…多くは悩みを抱えた姿として…見ています。
「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」というのは20世紀前半の私立探偵小説での台詞ですが、私は今でも通じる部分があるのではないかと思います。もちろん当時の「強さ・優しさ」が今のそれとは異なっていることは十分あるでしょう。また、最初に出た時は男性の台詞としてでしたが、今はその限定はない(男女関係ない)とも思います。
さて、今の世の中を生きていくための「強さ」とは…?優しいだけではない世、を渡っていく力でもあり、依存度を下げるという意味でもあり、「制限のある中で何とかする、努力する」態度であると理解しました。
花まる学習会は「野外体験」を大きな柱に据えており、その非日常の体験から優しさと強さを獲得していくことも多いのだろうな、と想像します。ソニー創業者の言った「庇うことは、うばうこと」ではありませんが、子どもが自立していく過程において、家族の元を離れて生活することは、大きな意味を持つと考えます。そして当たり前ながら、幼稚園もその一つなのだ…と思いました。
最後に気になったエピソードを。
”(自身の経験で)小学校1年生の時、自分の意見は聞かれないまま3泊4日の野外体験に入れられた。前回も参加してみたけれど、全く面白くなかった。しかしフト「これは行かなければならないのだな」と割り切った。悟ったと言っても良い。すると不思議なことに、「では、その中で何ができるかな?楽しく過ごすには何をすればいいのかな?友達になってくれるかな」という課題が浮かんだ。”
非常に興味深いです。問題に立ち向かう、その場に自身を置くことを受け入れたら、課題が生じた。それはまさに彼が身に付けるべき力に結びついていた…という訳です。先日「園だより」でもお伝えした、「科学の5段階」の最初に辿り着いたのです。「行くの行かないの」という「親子どっちが主導権を取るか?」という問題よりも「どう関われば友達になりやすいかな」に取り組む方が、人生において遙かに価値がありそうに思います、私は。
ということで、曲解もあるでしょうけれど、私にとっては価値ある講演会でした。ご参加の皆様、ありがとうございました。
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