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試行錯誤のプロセスを大切に教育します

RECRUIT

子どもの学び方は、大人とは異なる独特のものです。子どもたちはまだ経験が浅いため、興味を抱いたことを直感的に試み、その結果を通して学ぶという手法をとります。この試行錯誤のプロセスが、子どもたちの基本的な学び方となります。特に、子どもたちは、環境や人々の行動をそのまま受け入れ模倣します。このような経験を通して、何が良くて何が悪いかを自ら判断し、学んでいくのです。


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目次

子どもが育つプロセス

・試行錯誤の大切さ
・「身につく」ということ

「ここならでは」の環境

・自然環境
・人的環境
・文化的環境

大まかな「育ちの姿」を意識する

・保育課程(年間カリキュラム)
・幼児期に育てたい10の姿

子どもの姿から保育を組み立てる

・昨日から今日。今日から明日
・育ちのストーリーを見つける
・子どもの面白さ・子どもと
一緒の楽しさを見つける

子どもの育ちの姿を共有する

・園内研修で発表し、学ぶ
・質問し、相談する

子どもが育つプロセス

子どもが育つ、何かを学ぶのに当たって、その「やり方」は小学校以降や大人のそれとは異なります。子どもは圧倒的に体験量が少ないので、「興味を持つ→やってみる→結果を得る」という試行錯誤がそのプロセスとなります。また、子どもが言葉を身に付ける時などに顕著ですが、「たくさん受け取る経験」がとても大切です。「何が合っていて、何が合っていないか」さえ分からない子ども達は、とりあえず「自分の身の回りにある環境は、全て普通で当たり前で正しい」と「全てを肯定すること」から生活を始めます。周りの人たちが生活するように、周りの人たちが喋るように、周りの人たちが振舞うように。「学ぶことは、真似ることから」と言われますが、疑問も批判もなく、全肯定から始まるのが子どもです。

その中で、特に関心を持った物事を「自分なりにやってみる」、その経験量を積んでいるのが子ども達と言えるでしょう。「自分の行動が、どういう結果となったか?」つまり「どう反応してもらったか」によって、自らの「次の行動」をコントロールし変容させているのです。

つまり、「身についた」「自発的に行動した」というのは、「それまでの経験から、自分なりに価値あると判断したこと(学習したこと)」を行なっているのです。「この間ニッコリしたら、お母さんも笑った」ことを学んで「自分から笑いかける」ようになるのです。ですから、試行錯誤を大切にしなければなりません。「やってみて、嘲笑された」という経験は、「もう一度やってみよう」ではなく「あれはやらない方がいい」と判断するであろうことは想像できると思います。

「ここならでは」の環境

どんな子ども達も、「自分の行動と、その反応」を見ながら育っていきます。そうであるなら「多彩な興味・良い反応」がたくさんあるのが「良い環境」であると思います。明照幼稚園は「これが文京区内ですか!」と言われるほど、豊かな自然環境の中にあります。それは「お寺の幼稚園として出発した」ことと無関係ではありません。実際、ほとんどの季節には何らかの花が咲いていますし、時期になれば実がなったり生き物が誕生したりします。そして、何より「自然には、とても大きな力がある」ことを肌で感じることができます。

実際、先生方の保育記録を見ていても、園内の自然環境に働きかけることから保育を組み立てている姿を見ることができます。子ども達が自らの目で見つけ、「知りたい・やってみたい」という情熱を持ったことを先生がキャッチし、エネルギーを入れることで子ども達の活動は大きく広がります。

園長は、「先生方にはそれぞれ個性がある」ことを大切にしています。もちろん、個性というのは「一定の求めの上にあるもの」です。全ての先生が同じこと「しか」提供しない、のではなく「共通して提供するもの」の他にそれぞれの先生の個性があり、得意があります。そういった個性に触れると、園長も子ども達もワクワクするものです。

お寺の幼稚園からスタートしていることもあり、また園長も「坊さん」ですので、時おり仏教が顔を出します。行事のお話は子ども達がすぐに理解できるものではないかも知れませんが、「いつか大人になった時でも、フト思い出してくれたらいい」長い人生を支えてくれる考え方を、伝えているつもりです。また、先生方も行事をきっかけに「お盆とは」「お悟りとは」など、自ら調べてお話してくれることも多いです。先生方も同じ文化の中にあって、自ら歩んできた人生に照らして学び続けているのです。

大まかな「育ちの姿」を意識する

幼稚園は、「一人ひとりの育ちを大切に」する場所ではありますが、たくさんの子どもが一緒に暮らすこともあり、幼稚園としての知見として「入園から卒園まで、おおよそこのような経験を育ちを経ていく」という全体像を持っています。先生方は、日々子どもに対応しながらも、「今、この子が経験しているのは、どんな意味があるんだろうか。どんな成長に繋がるのだろうか」という問いを常に持っています。その一つのアテとして、「教育課程(カリキュラム)」があります。

ただし、カリキュラムというのは本質的に「毎回、更新されていくもの」です。保育の区切りが来た時には、それを振り返って「子どもにとって、どんな意味のある時間だったのだろうか」というのを捉え直していきます。のちに触れる「園内研修」では、全部の学年の子ども達の姿が描き出されます。

国から「幼児期に育てたい10の姿」として「小学校へ入学する前に、こういった体験をしてきて欲しい」とまとめられている点について、幼稚園での生活を思い出しながら「どんな活動が、どんな姿へと繋がっているのだろうか」と考えました。保育系の学生さんには馴染みにあるものかと思います。「生活」「人との関わり」「学びの芽生え」という3つの大きな枝、またそれに連なる姿について、園内の活動が様々位置づいているのがみて取れると思います。

子どもの姿から保育を組み立てる

きっかけは「大きな池にはナマズがいるんだよ」という一言だったのですが、子どもたちのエネルギーを先生がうまくキャッチし、言わば焚きつけてくれたのです。「こうすれば見つかるよ」は言わず、先生も一緒に楽しみながら、子どもと同じ問題意識で楽しみました。時折エネルギーが下がってくると、「こんなの見つけたよ!」と新たな材料を投下したりと、ずいぶんと長い間、見たことのないナマズで盛り上がっていました。

もちろん、一日中ナマズのことを考えていたわけではありません。全員が研究所に参加していたのでもありません。けれど「同じ問題意識を持って、自分たちで探求する」という、何ともワクワクする時間を過ごしていました。最終的にナマズは見つかったのか?見つかりませんでした!でも子どもたちは何だか満足した様子で、ナマズ熱は年度末で終わりを迎えました。

子どもが何を考えているのか。どんな気持ちでいるか?何を面白いと思っているのか?そこに心を向けるのは、保育者の大切な仕事だと思います。「大人より、子どもの方が自由だな」と園長が思うのは、「思ったら行動し、失敗を恐れず、めげない」所です。「それじゃ上手くいかないわよ」「それじゃ失敗するぞ」まるで未来を知っているかの如く、大人は介入します。けれど「だから何?自分でやりたいんだけど、それがいけないの?」子どもが失敗する自由や、寄り道する自由を、私たちが奪ってはいけないと思うのです。子どもと接していると、「思ったらストレートに行動してみる」「アレコレ思いをめぐらす」「試行錯誤する」といった「子どもらしい行動」の中にある楽しさを、私たちが忘れてしまっていることに気づかされます。「便利だから・正しいから・能率的だから」といった「大人の価値観」に縛られている自分に気付いたりします。

子どもって面白いなぁ!子どもといるって楽しいなぁ!そう実感することは、子どもと心を通わせるプロセスの一つとしても大切です。「共鳴現象」とも呼ばれますが、「子どもの行動や気持ちに対して大人の方が共鳴していると、大人からの言葉も(子どもが)すんなり受け止めてくれやすい」のは確かなことです。

子どもの育ちの姿を共有する

幼稚園では、一年を4つの期に分けて、それぞれの末に園内研修会を開いております。そこには専門学校の先生にもお越しいただき、各学年で見られた「成長の姿」を先生方の目を通してまとめ、発表していただきます。そういった機会があることで、改めて「この期に見られた象徴的な事は何だったのか?」を考え、「次にどんな事が起こるのだろうか」を予想するのは楽しいものです。

子どもの姿は多面的ですので、何らかの行動について「こういう育ちがあると思いました」と解釈することに、「不正解」は殆どありません。ただ、同じ発表を聞いても「そこから連想することの広さ」は、人によって違うと思います。もちろん経験が多くなると、「なるほど、あれと繋がるんだ」は増えるでしょうし、たくさんの本を読んでいれば「確かに読んだ通りだな」と思うこともあるでしょう。そして何より、「私が担任だったら、次の展開をどう考えて行こうかな」と思う事が多いはずです。まとめる時にも、発表する時にも、コメントや質問する時にも、その返事からも学ぶ事ができます。

子どもたちについて、「困っていたら、素直に助けて!と言える子に育てたい」とは、誰もが思うことでしょう。けれど、そのためには大人自身が「困っています。知りたいです。教えてください。助けてください」を素直に言えなければなりません。先生だって分からない。先生だって知らない。先生だって困ってる。そういうことを素直に表現できる人は、きっとそれだけ子どもとの距離が近いのだと思います。「常に子どもと同じ気持ちでいなさい」とは思いませんが、時折、そういった「自分の中の子ども」を大切にしてほしいと思っております。

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