お経によせて
2023/07/08
今日はお誕生日会。土曜日ということで、お父さんの姿も多く見られ、そして「お誕生日の月でない子」の保護者の方の姿も見られたのは嬉しい事です。「自分の子どもではなくとも、子どもの成長を祝って下さる」というのは、まさしく社会性の高さに違いないと思うのです。
園長のお話としてはおおかた固定された感もあるのですが、今日は湿気の強い時期ということもあり、「父母重恩経」の話を軽く引用させて頂きました。
廻乾就湿(かいかんじつしつ)の恩
wikipediaより
水のような霜の夜も、氷のような雪の暁にも、乾いた所に子を寝かせ、湿った所に自ら寝る。
ただこちらは「中国で儒教思想の影響を受けて成立した、偽経である」と結論づいています。偽経というのは「お釈迦様が説いたものではなく、仮託されたもの」という意味です。偽経なのだけれども古くから日本に伝えられており、奈良の正倉院にも所蔵されて江戸時代などには盛んに流布されていたようです。
さて、これを「古いものだから現代の価値観には合わない」「偽物だから信じない」と簡単に切り捨てることも、できなくもありません。しかし、「親は自分のことよりも子どものことを優先してくれる」という文脈は、改めて味わって良いのだろうと思います。
「(自分も含めて)あなた達は親なんだから、自分のことより子どものことを優先すべきだ!」と言うのではありません。「あなたも育てて貰う中で思い当たりがあれば、頂いた恩をどなたかに回向して(ふりむけて)いくことを考えてみてどうでしょう」というのが私の思いです。
現代は「先ずは自分のこと。余裕があったら他人のこと」という赤裸々な価値観が…それ自体は否定するものではありませんが…余りにも肥大化しているように思うのです。自分のこと、イコール欲求も肥大化し、それを叶える手段も低コスト化して、更に欲求の肥大化を呼んでいる。そんななかで、「ただ」誕生日を迎えたというだけで…それだけの理由で…お祝いしてくれる。この尊さはしっかり意識したいと思います。
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