学校法人明照学園
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人生を語る

人生を語る

2018/10/30

 年長組では「子どもの規範」という本を読みます。1人一冊ずつ、「これは私の・僕の」であり、それなりに誇らしげに、大事に扱っています。

 「幼児期に育って欲しい10の姿」で言えば、「道徳性・規範意識の芽生え」に関わることとなります。こういった価値観は、本来さまざまな生活体験の中から、円滑な社会生活を営むために、それぞれの経験と評価を通し、獲得されていくものだと思います。
 しかし、全ての経験を待って一つずつを評価し受け入れていくという、ベタなやり方は「一つの理想」かも知れませんが人間の学習能力・共感能力を捨象しているように思います。
 昔話を聞いて、「独り占めは良くないよね・嘘はいけないよね・欲張りもダメだね」と学ぶ事ができるのです。そのドクトリン(原則)は言葉で持っているものですが、実体験と言葉を行ったり来たりしながら身に付けていくべきことと考えています。
 そう、「規範を盲信せよ」ではないのです。法律とか基準とか言われても、「何のために作られた法律なのか?基準なのか?」は必ず検証し、自分の生活にどう結びつくのか、自分の生き方を振り返って「ドクトリン」として受け入れる・受け入れられるかは考えねばなりません。これからの時代は特に!

 さて、今日話したいことに戻りましょう。
「嘘つきは泥棒の始まりです」といった事が取り上げられていました。私達の世代には昔懐かしいですが、現代の子ども達、どの程度聞いたことがあるのか分かりません。
先生が静かに尋ねます。

「この中で、嘘をついたことがある人はいますか?」
パラパラと、でも弱々しく手が上がります。
「実は、先生も嘘をついたことがあります。みんなと同じ頃や、もう少し大きくなってからも。」
「世の中にはね、相手を守る為の嘘もあります。それは悪くないと思います。」
「けれど、嘘をつくと相手を傷つけます。自分も嫌な気持ちになります。相手を悲しませます。」
「先生も、自分で嘘をついてしまって、周りを困らせ傷つけて、”やっぱりいけないんだ”って分かったんです。」

…子ども達、シーンと聞いていました。
一つの言葉を発端に、自分が生きてきた中で学んだ事を、子ども達に伝えたのです。
「ああ、先生方は命がけで子どもに接しているんだな」と思いました。
あと半年で去って行く子ども達です。その子たちの幸せのために、何を渡しておけるか。
その真摯な姿が、明るい日射しのなかにありました。

 ちなみに。
 仏教でも嘘は厳しく戒めています。嘘をつくと、その後も嘘をつき続けなければならないからなのです(因果の法則)。
「◎◎◎◎(嘘)」とやると、
「えっ!それ、嘘でしょう?」
「いやいや、本当だよ」と2回目の嘘を付かなくてはならなくなる。
自分の整合性を保とうと、ドンドン嘘を重ねて行く…ことになるのです。

それを防ぐためには「嘘は一回だけ」で断ち切ることです。
「えっ!それ、嘘でしょう?」
「ごめん、実は嘘なんだ」で終われれば、一回だけの嘘で済みます。
大人としては、こちらへ導ける投げかけをしていきたいですね。
それができる人、滅多に会うことはありませんが…。

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