思いをストレートに表現することが芸術家なのだとしたら、やっぱり子どもは芸術家だと思います。考えている事・願っていることが直接現れる。生身が表出されているのを、芸術と呼んで良いのだろうと思います。
　さて本日、年長さんは「今年の五七五」を詠んでいました。もちろん１人ずつオリジナルです。縄跳びのこと、鉄棒のこと、そして小学校・ランドセル・新しい友達…子ども達の心がそのまま言葉になっているなぁと感じます。
　背中越しに下書きを見ていると、みんなそれなりに苦労している様子。テーマは決まったけれど、五七五の形に落とし込む（そんなこと、初めての経験でしょう）あたりが難しいようです。まぁその苦しさは、パッと言葉が閃いた時の嬉しさへの「溜め」なのですけれど。
　そう言えば、何年か前に園長会終了後の雑談会で、俳句会をしていた事がありました。ちょっと一つまみしながら、お互い３句程度持ち寄って発表します。そして周りの人は「あなたの句の中で、これが気に入った。特にこの辺りが良い」と評し合うのです。あくまで本人が作ってきた内で「気に入った、面白い」を論じるのです。
　他人との優劣ではないので気も楽。お金も道具も掛からない。それでいて、ぞくぞくする楽しみを感じる事もありました。「この先生、こんなに若い感性なんだ！」とか。そして不思議と個性というか各々の味があるのでした。
　俳句は、世界でも最小の部類に入る文学です。でも結構、人生とか生き様がばっちり反映されていたりします。古今集「人の心を種として、よろずの言の葉とぞなれりける」金言至極。