躾を正面から考えるシリーズ;第3回 叱る前に、整える
2026/02/25
「叱る前に整える」と聞くと、「子どもの環境を整えること?」と思われるかもしれません。もちろんそれも大切です。けれど実際には、整えるべきものは大きく2つあります。
1つは子どもが行動しやすい環境、もう1つは、「夫婦が同じ方向を向ける態度(運用)」です。ここが整うほど、叱る回数は減り、叱るとしても短く・落ち着いて・効果的になります。UNICEFも、怒鳴る・叩くことは助けになりにくく、代わりに「期待を明確にする」「落ち着いて対応する」ことを勧めています(前回参照)。
叱る場面は、「瞬間」に起きる。だから「先に整える」
子どもの困った行動は、たいてい突然起こります。時間がない、疲れている、兄弟げんかが始まる——。その瞬間に「いい叱り方」を探すのは無理があります。だからこそ、叱る前に整える。これは、子どもをコントロールするためではなく、家庭を回し、親子の関係を守るための準備です。
3つのポイント:何を整えるか
1つ目:整える①「子どもの環境」——叱らずに済む前提をつくる
環境を整えるとは、子どもを甘やかすことではありません。「できる状態」を用意することです。いわゆる「困らせる子」も、「困っていることが行動に出ている」と捉え直せる場面があります。子どもだって、うまくできるならうまくやりたいものです。つまり、悪意と決めつけるよりも、背景に「まだ難しい力」や疲れ、見通しのなさなど、何らかの困りごとが隠れているかもしれない——そんな見立てです。ですから、米国心理学会(APA)も、幼児期は「危険でない行動は無視する」「注意は短く一度に一つ」「気をそらす(切り替える)」など、環境や状況づくりを含めた関わりを勧めています。
ただし勿論、安全に関わる時や他人を傷つけそうな場合は、はっきり止めるべきです。
具体例(家庭で効きやすい整え方)
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取り合いになりやすい物は、数を減らす/時間を分ける
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走りやすい導線は、先に片づけてスペースを変える
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「やってほしくないこと」の代わりに、やっていいことを用意する(紙に描く・クッションに飛ぶ など)
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空腹・眠気がピークの時間帯に、難しい用事を入れない(機嫌は能力を下げます)
ここが整うと、そもそも「叱る案件」が減ります。叱り方を工夫する前に、まず土台を整える——これが最短ルートです。
2つ目:整える②「夫婦の態度(運用)」——子どもが迷わない一致を先に決める
子どもにとって一番混乱するのは、「同じことをしても、日によって親の反応が違う」ことです。
ここで整えるべきは、夫婦の「気持ち(誰が正解か)」より先に、家庭の運用」です。
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同じ場面では、同じ合言葉を使う(短く、断定して)
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最優先ルールを3つ以内にする(安全/人を傷つけない/生活を回す等)
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「どちらが正しいか」ではなく、子どもが迷わない形をゴールにする
夫婦の考えが違うのは自然です。だからこそ、先に揃える。揃っているほど、子どもは落ち着きやすくなります。
3つ目:整える③「親の落ち着き」——一時停止→短い言葉→落ち着いた結果
叱る前に整える、の最後はここです。親が高ぶったまま関わると、言葉が長くなり、強くなり、ぶれやすくなります。UNICEFは、ストレスが高い時にまず「一時停止」として深呼吸することを勧めています。
家庭での「型」としてはこの順番がおすすめです。
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一時停止(5呼吸)
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短い合言葉(してほしい行動):「手は止める」「深呼吸して」「箱に入れる」
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落ち着いた結果(できる範囲で一貫して)
整えるのは「子ども」ではなく「家庭の仕組み」
叱る前に整える。これは、子どもを思い通りにするためではありません。
子どもの環境を整え、夫婦の運用を整え、親の落ち着きを整える。すると、叱る場面は減り、必要な時だけ短く伝えられるようになります。
今週はぜひ、いちばん困る場面を一つ選び、夫婦で「合言葉を一つ」だけ決めてみてください。話し合うのは、子どもも夫婦も「その場面」に巻き込まれていない落ち着いた時間に。そこで決めた一言が、次の現場で家庭を助けます。
次回(第4回)は、「関わり方を更新する」。反応と成長を見ながら、いかに柔軟に対応していくかを、を一緒に考えます。
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