今回の皆既月食は長時間にわたり、かつ雲一つ無いという好天だったため、多くの方がご覧になったのではないでしょうか。私は丁度出先から戻るところで、伝通院の下辺りまで来たところ「やけにみんな空を眺めているな」と気づき、「そうだ月食だった」と思い出しました。
　幼稚園まで戻ると、卒園生（と親御さん）が二組、空を見上げていました。思いついて「屋上で見てみませんか？」とお誘いし、階段を登りました。そんなに急ぐ必要はなかったのですが、なんだか気が急いてパタパタとあがり、撮ったのがこの写真です。

　何だかフィルターがかかっているかのようなボンヤリ具合ですが、それでも立体感も出ていて、自分としては気に入った出来となりました。そして振り返ると…お父さんが半分寝そべって望遠鏡を覗き込んでいました。大きなものではありませんでしたが、かなりクリアーに月を捉え、「さっきより移動してしまった、もう画面からはみ出そうだ」とのこと、私もつられて興奮気味に覗かせてもらいました。色味が全く違い、かつ確かに変化し続けていました。「満月を見て変身するのはオオカミ男」でしたっけ、確かに何か得体の知れない力を感じました。自然の姿に興味を持つ、いや面白がるというのは大切な姿勢だと思います。強い光ではないので、自分で視線を向けなければなりません。「どこにある？」と探さなければならないかも。しかし、「寒いからもう帰ってテレビ見ようよ」とは誰ひとり言わず、みんなで自然の織りなす景色に見入っていたのでした。