学校法人明照学園

聞き耳ずきん

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聞き耳ずきん

2026/03/05

 最近では、『僕には鳥の言葉が分かる』という書籍も出版され、「言葉を話しているのは人間だけではない」という世界が広がってきています。しかしこれ、日本では昔から考えられていたようです…「聞き耳頭巾」として。

 先日のお御堂参りでは、珍しくこの昔話を取り上げました。一つは「耳を澄ましてみる」という経験をして欲しかったこと、静寂を感じて欲しかったということもあります。何かを見つけると大声で伝えたくなるのが子どもですから、「鳥が鳴いてる!」「カラスだ!」「何とかだ!」と、まぁガヤガヤしていったのですが、この「自ら聞こうとする姿は、主体性の一つでもあるのだろうと思うのです。

 情報が溢れている現代においては、「静かだと、むしろ寂しくて不安になる」という声もあり、テレビやラジオ、歌や音楽が絶えず身の回りを満たしていることがあります。自転車に乗っていてさえ、ヘッドホンをしていたり(!)と。

 この「聞かせようとして鳴っているのではない音」を聞きにいくのと、「聞かせる為の音を聞く」のは、何だか態度として異なるような気がするのです。「気づいたら、聞こえていた」のと「聞かせるための音を聞いていた」は、能動的と受動的という差があるのではないか、と。

 聞き耳頭巾は…前者ですね。「被ってみたら、聞こえてきた=ピーピーと意味なく聞こえていた鳴き声の、意味が聞こえてきた」のですから。それで面白うと思って、色んな動物や木の話に耳を澄ませる。動物も植物も、人間に聞かせようと喋っているのではない。けれど、耳を澄ませる人には、何かが届く。聞き耳頭巾とは、魔法の道具というより、心の在り方によって起きる魔法なのかも知れません。

 子ども達は、実はとてもよく聞いています。大人が思っている以上に、声の調子を、間の取り方を、言葉の裏にある気持ちを感じ取っています。そして、自分の思いもまた、誰かに受け取ってもらえることを、どこかで期待しています。

 けれど大人は忙しい。時間に追われ、正解を急ぎ、つい「分かった分かった」「あとでね」と返してしまうこともあります。子どもの声は、聞かせるために大きくなることもあれば、聞いてもらえないと分かれば、小さくなることもあります。

 

 だからこそ、ときどき立ち止まって頂きたいのです。

 鳥の声を聞くように。

 木々のざわめきを聞くように。

 すぐに意味を決めつけず、「いま、何を感じているのかな」と耳を傾けてみる。

 

 子どもの声は、いつも正しいわけではありません。けれど、そこにはその子なりの世界の見え方があります。それを一度受け止めてから、大人の言葉を重ねる。その順番を大切にできたら、親子の会話は少し変わるのではないでしょうか。ほんの一分でいいので、お子さんの言葉を途中で遮らずに聞いてみてください。

 きっと、いつもとは少し違う声が、聞こえてくるはずです。

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