ふたつの石臼
2017/11/28
今日は月曜日で、見学の方もあったのですが「お御堂参り」を行いました。題材は「海の水はなぜ辛い」という、石臼の話。一年に二度はやりませんが、やらない年もありません。
時期は「甘い果物とかが実ってきたけれど、今日は辛い話をします」という、やや唐突なもの。塩が主役になる事、多くはないんですね。果物やお菓子はみんなに喜ばれるのに、塩は「名脇役」というのが精々な気がします。そういえば「ソルト」と「サラリー」は同じ語源だと聞いた記憶があります。「それ単体ではなく、脇役として力を発揮するもの」という感じ。塩もお金も、それ自体が主役にはなれませんね。
それはさておき、心優しい弟は老人を泊めてやって石臼を貰い、豊かな食生活を送ります。それを妬んだ兄が盗み出し、船の上で「ああ疲れた、お握りでも食べよう」と取り出したお握りへ「塩をつけなきゃ」と出した塩が止まらなくなった…というお話です(覚えておいででしょうか?)。「右に回せば物が出る。左に回せば止まります」なのですが、「ストップの仕方」を知らなかったのですね。
終わってから子ども(主に年長さん)に尋ねました。「さて、お兄さんは何が悪かったんだろうね?①うそつき、②いじわる、③よくばり。」子ども達はそれぞれの思いを口々に言っていましたが、「よくばり」が一番人気(?)だったようです。
子ども達には、「幼稚園には2つの石臼があります。小さいのと大きいの。分かるかな?」年長さんはすぐに応えます。「うん、では分からない子は年長さんに聞いてみてね」ということで、ノーヒントで解散となりました。
小さい臼はすぐ見つかり、大きい臼は…担任の先生方からヒントを貰って見つけた子が多かったようです。
昨年も話に出したのですがね。…
かえりみて、「どんどん望みが叶う」、そして「(望むこと・得ることの)止め方を知らない」のは現代人も同じじゃないか、と思ったりします。
弟は臼を盗まれてしまったので、「望み叶い地獄」からは、ある意味抜け出せたのではないかと。困った人を助け、ちょっとの間いい目にあって、また戻って(地道に働く)。そのまま石臼が手元にあったら、きっと幸せになれない人生だったのではないか…坊さんとしては、そんなことを考えます。
不思議なことに、「ドイツの昔話」バージョンもあるそうです。けれど、何だかオドロオドロしい。話の筋は同じなのに、不思議ですね。
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