先日、幼稚園で「母の日の集い」を行いました。集いでは大抵、それに由来する歌を歌うのですが、この行事には２つの歌があります。（題名は共に「おかあさん」）。一つは割とメジャーなようです。「お母さん　なあに　お母さんっていい匂い」で始まるもの。お洗濯とかお料理とか、家族のために頑張ってくれている姿です。私も一人暮らしをしている時に感じたのですが、この「日々の暮らしをまっとうに成り立たせる」努力というのは、休みもない、大変なことです。ちょっと油断するとすぐに溜まってしまう。日々繰り返し。相手が喜んでくれると、力になりますね。　　そしてもう一つは、余り有名ではないようですが、「何にもご用は無いけれど、なんだか呼びたいお母さん」で終わるもの。こちらは詩の通り、「ご用はない」のですから役割の歌ではありません。こちらの方はむしろ「お母さん」という存在そのものを歌っているのではないかと思います。試しに「なんだか呼びたい●●●」と伏せられても、１０人が１０人とも「お母さん」と答えられるのではないでしょうか。「ご用がないなら、あっちへ行っていなさい！」ではなく、きっと「なぁに、どうしたの？」と答えてくれるお母さんは、やはり有り難いものだと思います。　…思えば、最初の歌も、お母さんに何か役割を期待しているのではないのかも知れません。「いい匂い」というのは、単に鼻で感じているだけではなくて、「お母さんが好き！」の、具体的表現なのでしょうね。　　いずれにせよ、「人が人を思う歌」が子ども達の心に残ってくれるのは、とても嬉しいことです。