お父さんがいない


 イヤ驚きました。登園してきた子どもが、不安げな顔で「先生、鯉幟のお父さんがいないよ、どうしたの?」と訊ねてきました。エッと思って見てみると、確かに居ません。よもや一匹だけで泳いでいく筈もなく、何があったの…?
 近くにいた先生に尋ねると、「たんぽぽぐみさんへ行っています」とのこと。現物を見て、触って、その大きさや材質に触れてみようという意図だったのでした。それが分かって一安心。子どもにも報告しました。
 ところが、登園の間、何人もに聞かれるのです、「お父さんどうしたの?真鯉はどうしたの?」と。よく見ているなぁ。本当に感心しました。
 風が強い日には、吹き流しが矢車に絡みついてしまうのを防ぐために、少し低めにあげたりします。以前はそのことを不思議に思った子もいて、理由を聞いてきました。「ああ、上がってるな」だけではない、「何か変だぞ?」に気付く子って、とても多いのですね。
 これは、「よく見ている」という事の具体例なのだろうと思います。一瞬見ただけで「要するに、上がっている(かつて知っている通りに)」と認識するよりも、実際に目に入る光景を優先する。経験を重ねるにつれ、認識は大雑把になっていく(その方が効率は良いですよね)ものですが、脳みそ判断よりも目を優先する。子どもの素晴らしい力、賞賛すべき力ですね。