塩釜の昔話

今日はお御堂参りで「はながいてー」の話をしました。夜になると現れるお化け。子どもたちは怖くておトイレに行けず、みんなお漏らしをしてしまいます。勇気ある子が見に行くと、壊れた草履が恨んでお化けになっていたのでした。「はながいてー」は鼻緒が切れてしまったからなんですね。

よく見ると、ちょっと壊れただけで捨てられた物がいっぱい。漁の調子がいいからと、物を粗末にあつかった結果なんですね、「はながいてー」は。皆が改心して大切に扱うようになると、もうお化けは出ない。 「もったいないばあさん」の原型みたいな話ですが、「自らが、勿体ないまま捨てた」という罪に脅かされるのは、とても示唆的な感じがしました。私たちは、草履を買うことはできても修理することは(おそらく)できません。名も知らぬ誰かの手によって、この暮らしは成り立っているのです。